2012年08月09日
第2話 大瀬神社の神池
富士山のパワーがまっすぐ届く場所
大瀬崎は沼津市の西浦海岸南端の駿河湾に、天狗の鼻のように突き出た長さ800mほどの半島。海越しに富士山を望む絶景ポイントとして有名です。視界をさえぎるものが何もなく、海の向こうに富士の姿がまるごと見え、富士山のパワーがダイレクトに伝わる場所。

富士山手前にピョコンと突き出た半島
この半島の先端に『大瀬神社』はあります。正式名は『引手力命神社(ひきてちからのみことじんじゃ)』で、駿河湾漁民の信仰の象徴であり、海の守護神。毎年4月4日に行われる例大祭「大瀬まつり」は、天下の奇祭といわれるとても珍しいお祭り。駿河湾周辺の漁港から、大漁旗で飾り立てたたくさんの漁船が集合します。漁船には女装した青年たちが乗り込み、「勇み踊り」と呼ばれる独特の踊りを繰り広げ、岸壁に到着すると船から海に向かって俵を投げ入れ、海に飛び込んでそれを拾い上げた青年たちが大瀬神社に参拝し、大漁と航海の安全を願うそうです。
大瀬崎一帯はビャクシンの樹林に囲まれており、自然発生地としては日本最北端。樹齢千年以上ともいわれる老木もあり、国の天然記念物に指定されています。ヒノキ科の常緑針葉高木なので、木の香りが清々しくて気持ちがいいです。御神木をはじめ、幹がぐりぐりにねじれた大木がたくさんあり、千年もの時を生き抜いてきた自然のパワーをひしひしと感じます。

幹も枝もくねくねとねじり合うビャクシンの木
海を守る青い龍?
さていよいよここで、伊豆七不思議の一つに数えられている、大瀬神社境内にある『神池』をご紹介します。この神池、海から最も近いところで距離は15メートルほど、標高も1~2メートルしかなく、海が荒れた日には海水が吹き込む場所。にもかかわらず淡水池であり、コイやフナ、ナマズなどの淡水魚が多数生息している不思議な池です。池に近づくとコイが口を大きく開けてうじゃうじゃと近寄ってくるので、正直ちょっと気持ち悪いです・・・。
富士山の伏流水が湧き出ているという説もある一方、海水面の上下に従って水面の高さが変わるともいわれており、なぜ淡水池であるかは明らかにされていません。なんでも、昔から、池を調べたり魚や動植物を獲ったりする者には祟りがあるといわれているそうで…。池の透明度が低く底の観察が難しいこと、人や機材などが入ることでとりかえしのつかない環境破壊となる恐れがあること、などが実際の理由のようですが。確かに池の前に立つと、“池の主”の気配とでもいいましょうか、触れてはいけない何かがいるような、いないような。

どことなく神秘的な雰囲気が漂う神池
ある風水師によると「神池には青い龍が横たわっている」そうです。青龍といえば、四方の方角を守る四神(東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武)のひとつ。海を守る龍をいたずらに刺激してはいけないのですね。周りを囲むビャクシン樹林と、池にわんさかいる不気味なコイたちが、この龍をお守りしているのでしょう。
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◆クリックして、このコラムの他の記事を読む
第1話 富士かぐや姫伝説 / 第2話 大瀬神社の神池
第3話 富士山三姉妹 / 第4話 遠州天狗伝説
第5話 羽衣伝説 / 第6話 函南「猫おどり」
第7話 野守の池の悲恋伝説 / 第8話 ダイダラボッチ伝説
第9話 遠州灘の海鳴り・波小僧 / 最終話 徳川家康公伝説
大瀬崎は沼津市の西浦海岸南端の駿河湾に、天狗の鼻のように突き出た長さ800mほどの半島。海越しに富士山を望む絶景ポイントとして有名です。視界をさえぎるものが何もなく、海の向こうに富士の姿がまるごと見え、富士山のパワーがダイレクトに伝わる場所。
富士山手前にピョコンと突き出た半島
この半島の先端に『大瀬神社』はあります。正式名は『引手力命神社(ひきてちからのみことじんじゃ)』で、駿河湾漁民の信仰の象徴であり、海の守護神。毎年4月4日に行われる例大祭「大瀬まつり」は、天下の奇祭といわれるとても珍しいお祭り。駿河湾周辺の漁港から、大漁旗で飾り立てたたくさんの漁船が集合します。漁船には女装した青年たちが乗り込み、「勇み踊り」と呼ばれる独特の踊りを繰り広げ、岸壁に到着すると船から海に向かって俵を投げ入れ、海に飛び込んでそれを拾い上げた青年たちが大瀬神社に参拝し、大漁と航海の安全を願うそうです。
大瀬崎一帯はビャクシンの樹林に囲まれており、自然発生地としては日本最北端。樹齢千年以上ともいわれる老木もあり、国の天然記念物に指定されています。ヒノキ科の常緑針葉高木なので、木の香りが清々しくて気持ちがいいです。御神木をはじめ、幹がぐりぐりにねじれた大木がたくさんあり、千年もの時を生き抜いてきた自然のパワーをひしひしと感じます。
幹も枝もくねくねとねじり合うビャクシンの木
海を守る青い龍?
さていよいよここで、伊豆七不思議の一つに数えられている、大瀬神社境内にある『神池』をご紹介します。この神池、海から最も近いところで距離は15メートルほど、標高も1~2メートルしかなく、海が荒れた日には海水が吹き込む場所。にもかかわらず淡水池であり、コイやフナ、ナマズなどの淡水魚が多数生息している不思議な池です。池に近づくとコイが口を大きく開けてうじゃうじゃと近寄ってくるので、正直ちょっと気持ち悪いです・・・。
富士山の伏流水が湧き出ているという説もある一方、海水面の上下に従って水面の高さが変わるともいわれており、なぜ淡水池であるかは明らかにされていません。なんでも、昔から、池を調べたり魚や動植物を獲ったりする者には祟りがあるといわれているそうで…。池の透明度が低く底の観察が難しいこと、人や機材などが入ることでとりかえしのつかない環境破壊となる恐れがあること、などが実際の理由のようですが。確かに池の前に立つと、“池の主”の気配とでもいいましょうか、触れてはいけない何かがいるような、いないような。
どことなく神秘的な雰囲気が漂う神池
ある風水師によると「神池には青い龍が横たわっている」そうです。青龍といえば、四方の方角を守る四神(東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武)のひとつ。海を守る龍をいたずらに刺激してはいけないのですね。周りを囲むビャクシン樹林と、池にわんさかいる不気味なコイたちが、この龍をお守りしているのでしょう。
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第1話 富士かぐや姫伝説 / 第2話 大瀬神社の神池
第3話 富士山三姉妹 / 第4話 遠州天狗伝説
第5話 羽衣伝説 / 第6話 函南「猫おどり」
第7話 野守の池の悲恋伝説 / 第8話 ダイダラボッチ伝説
第9話 遠州灘の海鳴り・波小僧 / 最終話 徳川家康公伝説
Posted by eしずおかコラム at 12:00