2012年11月07日
第8話 ダイダラボッチ伝説
日本各地でさまざまな言い伝えが残る巨人“ダイダラボッチ”。アニメ「もののけ姫」ではシシ神の夜の姿としても登場します。ダイダラボッチは、山や湖や沼などを作ったという伝説が多く、国づくりの神であったともいわれています。
静岡市には足跡が
静岡市葵区富厚里(ふこうり)にある『ダイラボウ』。標高561メートルの山頂に全長150メートルほどの窪みがあり、これはダイダラボッチが富士山を作るために、琵琶湖を掘った土を運ぶ途中にのこした足跡だといわれています。

細い山道の先にある入口の案内板
ダイラボウ山頂は、藁科川、新東名高速道路、静岡市街、富士山まで見渡せる絶景スポット。新東名の静岡SAのスマートICを降り、ずんずん北上していくと“ダイラボウ”の案内板が見えてきます。さらに細い山道をくねくね、くねくねと登り、「本当にこの道で合ってるのだろうか…」と不安になった頃、山の斜面に“ダイラボウ入口”の案内板があり、“山頂まで1200m 徒歩50分”と書いてあるではありませんか!しかもどこをどう登ればよいのかわからない急斜面。運動不足の私の足で登るのはムリと判断し、車で行ける道はないかと探してみると、“林道ダイラボウ線”の看板を発見!意気揚々と進むも、数日前の天候不良もあって、その先はプチ土砂崩れ状態で危険なムードが漂っていたため断念。現在、この林道は整備中で、まもなく快適に走れるようになります。

「ダイラボウ」山頂からの眺め 写真提供:静岡市
浜名湖は、手をついた跡?
もうひとつ、遠州にもダイダラボッチ伝説が残ります。遠州の山奥に住んでいたダイダラボッチが、子どもたちを手にのせて歩いている時に、山をまたいだ拍子によろけて、子どもたちを投げ出してしまいました。その時に手をついてできた窪みに、びっくりした子どもたちとダイダラボッチの流した涙が流れ込んで『浜名湖』ができたといわれています。確かに、浜名湖は入りくんでいて、手の形に見えなくもありません。また、浜名湖に浮かぶ『礫島』(つぶてじま)は、ダイダラボッチが食べていたにぎりめしの中に入っていた小石を投げてできたものだとか。さらに、浜名湖近くの姫街道には、ダイダラボッチの足跡とされる池も残っています。

「浜名湖」はダイダラボッチの手の跡?!
山や湖などの地形の成り立ちを、ダイダラボッチという巨人の仕業とした、はるか昔の人々のロマン。一生懸命に琵琶湖を掘り、こぼさないように土を運び、よろけながらも富士山を作ろうとした、大きな男の姿を想像しながら、この伝説を語り継いでいきたいものです。
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◆クリックして、このコラムの他の記事を読む
第1話 富士かぐや姫伝説 / 第2話 大瀬神社の神池
第3話 富士山三姉妹 / 第4話 遠州天狗伝説
第5話 羽衣伝説 / 第6話 函南「猫おどり」
第7話 野守の池の悲恋伝説 / 第8話 ダイダラボッチ伝説
第9話 遠州灘の海鳴り・波小僧 / 最終話 徳川家康公伝説
静岡市には足跡が
静岡市葵区富厚里(ふこうり)にある『ダイラボウ』。標高561メートルの山頂に全長150メートルほどの窪みがあり、これはダイダラボッチが富士山を作るために、琵琶湖を掘った土を運ぶ途中にのこした足跡だといわれています。
細い山道の先にある入口の案内板
ダイラボウ山頂は、藁科川、新東名高速道路、静岡市街、富士山まで見渡せる絶景スポット。新東名の静岡SAのスマートICを降り、ずんずん北上していくと“ダイラボウ”の案内板が見えてきます。さらに細い山道をくねくね、くねくねと登り、「本当にこの道で合ってるのだろうか…」と不安になった頃、山の斜面に“ダイラボウ入口”の案内板があり、“山頂まで1200m 徒歩50分”と書いてあるではありませんか!しかもどこをどう登ればよいのかわからない急斜面。運動不足の私の足で登るのはムリと判断し、車で行ける道はないかと探してみると、“林道ダイラボウ線”の看板を発見!意気揚々と進むも、数日前の天候不良もあって、その先はプチ土砂崩れ状態で危険なムードが漂っていたため断念。現在、この林道は整備中で、まもなく快適に走れるようになります。
「ダイラボウ」山頂からの眺め 写真提供:静岡市
浜名湖は、手をついた跡?
もうひとつ、遠州にもダイダラボッチ伝説が残ります。遠州の山奥に住んでいたダイダラボッチが、子どもたちを手にのせて歩いている時に、山をまたいだ拍子によろけて、子どもたちを投げ出してしまいました。その時に手をついてできた窪みに、びっくりした子どもたちとダイダラボッチの流した涙が流れ込んで『浜名湖』ができたといわれています。確かに、浜名湖は入りくんでいて、手の形に見えなくもありません。また、浜名湖に浮かぶ『礫島』(つぶてじま)は、ダイダラボッチが食べていたにぎりめしの中に入っていた小石を投げてできたものだとか。さらに、浜名湖近くの姫街道には、ダイダラボッチの足跡とされる池も残っています。
「浜名湖」はダイダラボッチの手の跡?!
山や湖などの地形の成り立ちを、ダイダラボッチという巨人の仕業とした、はるか昔の人々のロマン。一生懸命に琵琶湖を掘り、こぼさないように土を運び、よろけながらも富士山を作ろうとした、大きな男の姿を想像しながら、この伝説を語り継いでいきたいものです。
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第7話 野守の池の悲恋伝説 / 第8話 ダイダラボッチ伝説
第9話 遠州灘の海鳴り・波小僧 / 最終話 徳川家康公伝説
Posted by eしずおかコラム at 12:00